化学反応式の書き方
Step1
まず、反応物(反応させる物質)と生成物(反応でできた新しい物質)を日本語で書きます。
Step2
次に、日本語で書いた物質を化学式で書きます。左辺と右辺のそれぞれの原子の数が合わないならStep3。
Step3
化学反応式は、左辺と右辺の原子の数を同じ数にそろえないといけないルールなので、数をそろえましょう。
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【1】鉄と硫黄を加熱すると硫化鉄ができる。
鉄 + 硫黄 → 硫化鉄
Fe+ S → FeS (答え)
鉄と硫黄で硫化鉄ができることは暗記していないとダメだし、
鉄と硫黄、硫化鉄の化学式をそれぞれ覚えていないとダメです。
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【2】炭素を燃焼すると二酸化炭素ができる。
炭素 + 酸素 → 二酸化炭素
C + O₂ → CO₂ (答え)
「燃焼は酸素とくっつくこと」を暗記していないとダメです。
あとは、炭素と酸素がくっつくと二酸化炭素になる言うことと、
それぞれの化学式を覚えていて下さい。
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【3】水を電気分解すると水素と酸素ができる。
水を電気分解すると、水素と酸素ができます。
それぞれの化学式を書き加えるとこうなります。
水 → 水素 + 酸素
H₂O → H₂ + O₂
今回の化学反応式は、これで終わりではありません。
なぜなら、左辺と右辺のそれぞれの原子の数が合わないからです。
→Step3へ
まず、左辺を見てください。左辺には、水であるH2Oがあり、
水素原子の数は2つ、酸素原子の数は1つあります。
次に、右辺を見てください。右辺には、水素H2と酸素O2があり、
水素原子の数は2つ、酸素原子の数は2つあります。
左辺と右辺の原子の数を比べたとき、水素原子の数は2個同士で合っているが、
酸素原子の数は、左辺に1個、右辺に2個で、酸素原子の個数が合いません。
化学反応式は、左辺と右辺の原子の数を同じ数にそろえないといけないルールなので、
左辺の酸素原子の数を2個にそろえるために、左辺のH2Oを2倍して、2H2Oとします。
2H₂O → H₂ + O₂ (左辺のH原子4個、O原子2個、右辺のH原子2個、O原子2個)
左辺を2H2Oにした後に、左辺と右辺の原子の数を見ると、
O原子は2個となりそろいましたが、今度は、
左辺のH原子4個、右辺のH原子2個とH原子の数が合わなくなりました。
なので、右辺のH原子の数を4個にそろえるために、
右辺のH2を2倍して、2H2とします。
2H₂O → 2H₂ + O₂ (左辺のH原子4個、O原子2個、右辺のH原子4個、O原子2個)
左辺と右辺の原子の個数が完全にそろい完成です。
2H₂O → 2H₂ + O₂ (答え)
化学反応式を書いたときは、このように
左辺と右辺の原子の数が同じかどうかを常にチェックする習慣をつけることが大切です。
なお、水の中に水酸化ナトリウムNaOHを溶かすのは、
水を電気分解するときに電流を流しやすくするためです。
水酸化ナトリウム自体は、電流を流すのを助けるだけなので、
化学反応式には、NaOHは書かなくてもOKです。
水だけが、反応の前後で変化すると考えてもらえばOK。
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【4】銅を加熱すると酸化銅ができる。
十円玉などは、銅からできています。
この銅を加熱して酸化銅ができる反応を化学反応式で書きます。
同じように、反応物と生成物を日本語で書きます。
銅 + 酸素 → 酸化銅
Cu + O₂ → CuO
やはり、今回の化学反応式も、これで終わりではありません。
なぜなら、左辺と右辺のそれぞれの原子の数が合わないからです。
まずは酸素に着目して、左辺には酸素原子が2個、右辺には酸素原子が1個なので
右辺の酸化銅を2倍。
Cu + O₂ → 2CuO (左辺のCu原子1個、O原子2個、右辺のCu原子2個、O原子2個)
今度は、左辺のCu原子1個、右辺のCu原子2個とCu原子の数が合わなくなりました。
2Cu + O₂ → 2CuO (左辺のCu原子2個、O原子2個、右辺のCu原子2個、O原子2個)
これで、左辺と右辺の原子の数が合ったので完成です!
2Cu + O₂ → 2CuO (答え)
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【5】マグネシウムを燃焼すると酸化マグネシウムができる。
マグネシウムを燃やすと図のように、激しい光をともなう燃焼が起こります。
マグネシウムを燃焼して酸化マグネシウムができる反応を化学反応式で書きます。
マグネシウム + 酸素 → 酸化マグネシウム
Mg + O₂ → MgO
↓ まずは、酸素原子の数を合わせるため、酸化マグネシウムを2倍
Mg + O₂ → 2MgO (左辺のMg原子1個、O原子2個、右辺のMg原子2個、O原子2個)
↓ 次に、マグネシウム原子の数を合わせるため、マグネシウムを2倍
2Mg + O₂ → 2MgO (左辺のMg原子2個、O原子2個、右辺のMg原子2個、O原子2個)
これで、左辺と右辺の原子の数が合ったので完成!
マグネシウム + 酸素 → 酸化マグネシウム
2Mg + O₂ → 2MgO (答え)
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【6】炭酸水素ナトリウムを加熱分解する。
炭酸水素ナトリウムは、ふくらし粉(ベーキングパウダー)の成分です。
パンをよく作る人なら知っているかもしれません。
炭酸水素ナトリウムを混ぜ込んだ生地を加熱すると生地がふわっと膨らみますが、
なぜだか知っていますか。
それは、炭酸水素ナトリウムの加熱分解に関係しています。
炭酸水素ナトリウムを加熱分解してできる反応を化学反応式で書きます。
炭酸水素ナトリウム → 炭酸ナトリウム + 水 + 二酸化炭素
NaHCO3 → Na₂CO3 + H₂O + CO₂
炭酸水素ナトリウムを加熱分解すると、
炭酸ナトリウムと水と二酸化炭素が生成します。
これは何度も言うように、暗記してもらうしかありません。
それでは、今回はまずNa原子の数に見ていきましょう。
左辺には、Na原子は1つ、右辺にNa原子の数は2つあります。
ということで、左辺のNa原子の数を2個にそろえるために、
左辺のNaHCO3を2倍して、2NaHCO3とします。
NaHCO₃ → Na₂CO₃ + H₂O + CO₂(左辺のNa原子1個、右辺のNa原子2個)
↓ Na原子の数を合わせるため、2倍
2NaHCO₃ → Na₂CO₃ + H₂O + CO₂(左辺のNa原子2個、右辺のNa原子2個)
次に、H原子や、Cの原子の数やO原子の数も見てください。ありがたいことに、個数が完全に合っています。
よって、結局は2NaHCO3とした時点で、化学反応式は完成していたんですね。
2NaHCO₃ → Na₂CO₃ + H₂O + CO₂ (答え)
なお、パン生地の話に戻りますが、パン生地が膨らむのは、
生成される二酸化炭素が発生するためです。
発生する二酸化炭素が生地を押すことで膨らむんです。
炭酸水素ナトリウムや炭酸ナトリウムは、名前も似ていて、化学式も難しいので、
暗記するのに苦労すると思いますが、難しい分だけあって、
テストによく出題されますので、頑張って覚えてください!
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【7】酸化銅と炭素を加熱分解する。
これも、上の炭酸水素ナトリウムの加熱分解と同様に、
よく出題される化学反応式です。
酸化銅と炭素を加熱して、銅と二酸化炭素に分解される
化学反応式を書いてみます。
酸化銅 + 炭素 → 銅 + 二酸化炭素
CuO + C → Cu + CO₂
まず原子の数が合っていない原子を探してみます。
O原子の数は、左辺に1個、右辺に2個で、O原子の個数が合いません。
ということで、左辺のO原子の数を2個にそろえるために、左辺のCuOを2倍して、2CuOとします。
CuO + C → Cu + CO₂ (左辺のO原子1個、右辺のO原子2個)
↓ O原子の数を合わせるため、2倍
2CuO + C → Cu + CO₂ (左辺のO原子2個、右辺のO原子2個)
では、次に数が合わない原子を探すと、
Cu原子は、左辺が2CuOになったので、
Cu原子は2つ、右辺はCu原子が1つと個数が合っていません。
ということで、右辺のCu原子の数を2個にそろえるために、
右辺のCuを2倍して、2Cuとします。
2CuO + C → Cu + CO₂ (左辺のCu原子2個、右辺のCu原子1個)
↓ Cu原子の数を合わせるため、2倍
2CuO + C → 2Cu + CO₂ (左辺のCu原子2個、右辺のCu原子2個)
これで、すべての原子の数が左辺と右辺で、個数が完全に合っています。
よって、 2CuO + C → 2Cu + CO₂ (答え)
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【8】鉄を加熱すると酸化鉄ができる。
「鉄の酸化に関する化学反応式を書け!」という問題は、
中学校ではあまり登場しません。
なぜなら、酸化の条件によって、3種類の酸化鉄ができるから、
教科書や参考書にも化学反応式が書かれていないのです。
とりあえず、鉄を酸化したら何ができるかという質問には、「酸化鉄」と答えておけば良いでしょう。
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【9】酸化銀を加熱分解すると銀と酸素が発生する。
酸化銀は画像のように黒色の物質で、炭酸水素ナトリウムの熱分解と同じく、
加熱すると銀と酸素に分解する反応が起こります。
酸化銀 → 銀 + 酸素
Ag₂O → Ag + O₂
O原子の数は、左辺に1個、右辺に2個で、O原子の個数が合いません。
ということで、左辺のO原子の数を2個にそろえるために、
左辺のAg2Oを2倍して、2Ag2Oとします。
2Ag₂O → Ag + O₂ (左辺のO原子2個、右辺のO原子2個)
次に数が合っていない原子を探すと、
Ag原子は、個数が合っていません。
よって、右辺のAg原子の数を4個にそろえるために、
右辺のAgを4倍して、4Agとします。
2Ag₂O → 4Ag + O₂ (左辺のAg原子4個、右辺のAg原子4個)
これで、すべての原子の数が左辺と右辺で、個数が完全にそろいました。
よって、 2Ag₂O → 4Ag + O₂ (答え)
銀というと銀色をイメージすると思いますが、
画像では白色の銀が出来ていますね。
でもこの白色の銀をヘラなどでこすると、
しっかり銀色に光るので、実験をされた方はぜひ確認してみてください。
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■化学反応式のまとめ
【酸化】 物質が酸素とくっついて化合物を作る反応のこと。
「燃焼」も酸化したと考えればよい。
炭素を燃焼する。 炭素 + 酸素 → 二酸化炭素
化学反応式 C + O₂ → CO₂
銅を加熱する。 銅 + 酸素 → 酸化銅
化学反応式 2Cu + O₂ → 2CuO
マグネシウムを燃焼する。 マグネシウム + 酸素 → 酸化マグネシウム
化学反応式 2Mg + O₂ → 2MgO
水素を燃焼する。 水素 + 酸素 → 水
化学反応式 2H2 + O₂ → 2H₂O
【還元】 物質から酸素を取り除くこと。
つまり、酸素と結びつく酸化とは、逆のような意味です。
酸化銅と炭素を加熱する。 酸化銅 + 炭素 → 銅 + 二酸化炭素
化学反応式 2CuO + C → 2Cu + CO₂
酸化銅と水素を反応させる。 酸化銅 + 水素 → 銅 + 水
化学反応式 CuO + H₂ → Cu + H₂O
【化合】 2つ以上の物質がくっついて新しい別の物質ができること。
化合によってできた新しい物質のことを、化合物と言います。
鉄と硫黄を反応させる。 鉄 + 硫黄 → 硫化鉄
化学反応式 Fe + S → FeS
銅と硫黄を反応させる。 銅 + 硫黄 → 硫化銅
化学反応式 Cu + S → CuS
【分解】 1つの物質が、2つ以上の物質にわかれる反応のこと。
水の電気分解と炭酸水素ナトリウムの分解は、テストや入試によく出るので、ぜひ覚えたい。
炭酸水素ナトリウムの加熱分解 炭酸水素ナトリウム → 二酸化炭素 + 水 +炭酸ナトリウム
化学反応式 2NaHCO₃ → CO₂ + H₂O + Na₂CO₃
水の電気分解 水 → 水素 + 酸素
化学反応式 2H₂O → 2H₂ + O₂
酸化銀の分解 酸化銀 → 銀 + 酸素
化学反応式 2Ag₂O → 4Ag + O₂
塩化銅の電気分解 塩化銅 → 銅 + 塩素
化学反応式 CuCl₂ → Cu +Cl₂
【中和】 酸と塩基とが反応をして、互いの性質を打ち消しあうこと。
この中和反応では、2つの物質である「水」と「塩(えん)」ができます。
塩酸と水酸化ナトリウム 塩酸 + 水酸化ナトリウム → 水 + 塩化ナトリウム
化学反応式 HCl + NaOH → H₂O + NaCl
硫酸と水酸化バリウム 硫酸 + 水酸化バリウム → 水 + 硫酸バリウム
化学反応式 H₂SO₄ + Ba(OH)₂ → 2H₂O + BaSO₄
酢酸と水酸化ナトリウム 酢酸 + 水酸化ナトリウム → 水 + 酢酸ナトリウム
化学反応式 CH₃COOH + NaOH → H₂O + CH₃COONa